技術コラム
「快削鋼」の旋盤・旋削加工もお任せください

1.快削鋼とは?
快削鋼とは、切削加工を行いやすくするために、特殊元素を添加して被削性を向上させた鋼材です。炭素鋼や合金鋼をベースに、主に以下の元素を加えることで加工性能を大幅に改善しています。代表的な快削鋼には以下がございます。
【代表的な快削鋼材】
・SUM23 / SUM24L(鉛入り):最も一般的な快削鋼で、極めて高い切削性を持ち、量産加工に最適です。
・SUM22(鉛フリー):RoHSなど鉛規制対応材で、加工性は若干劣りますが、環境対応が求められる分野で使用されます。
・SUS303(ステンレス快削鋼):一般的なSUS304に比べて切削性が大幅に向上しています。
2.快削鋼の特徴
特徴①:非常に高い被削性
快削鋼は、切削時の抵抗が少なく、工具負荷が軽減されるため、高速・高送りでの加工が可能です。切粉も細かく、スムーズに排出されるため、トラブルが少なく安定した加工が実現できます。
特徴②:工具の摩耗が少ない
鉛や硫黄の効果により、切削時の摩擦熱が減り、工具寿命が延びます。これにより、工具交換の回数が減り、コストダウンにもつながります。
特徴③:熱による変形が起こりにくい
快削鋼は熱伝導性が比較的高く、加工時の熱が拡散しやすいため、熱膨張や歪みが起きにくい特徴があります。寸法精度が求められる製品においても、安定した加工が可能です。
特徴④:仕上がり面がきれい
工具との相性が良く、加工後の表面粗さが良好で、追加の研磨や仕上げ処理が不要になる場合も多くあります。美観が求められる外観部品にも適しています。
3.快削鋼の旋盤・旋削加工におけるポイント
ポイント①:材質に応じた切削条件の設定が不可欠です
快削鋼は加工性が高いため、一見するとどの条件でも「削れてしまう」ように感じられるかもしれません。しかし、長期的な工具寿命や加工精度を維持するには、最適な切削条件の選定が必要不可欠です。
・回転数:例としてSUM24Lでは2,000~3,000rpmが目安
・送り速度:加工内容に応じて0.05~0.2mm/revで調整
・切込み量:荒加工と仕上げで条件を分けることが重要です
設計段階で公差や加工面の要求精度が厳しい場合は、事前に加工業者とすり合わせることで、品質・コストの両面での最適化が可能になります。
ポイント②:工具管理と選定も品質に直結します
快削鋼には鉛入り・鉛なしなどのバリエーションがあり、それぞれに適した工具が存在します。当社では、材質ごとに最適な刃物やコーティング工具を使い分けており、安定した加工品質を実現しています。
また、工具の摩耗傾向をデータとして蓄積し、適切な交換タイミングでの保守を行うことで、不良や寸法ズレの発生を未然に防いでおります。
ポイント③:切削油や切粉処理にも工夫が必要です
快削鋼では切粉が非常に細かくなりやすく、機械内部への堆積や切削液の詰まりなどが起こりやすくなります。そのため、当社では以下のような対策を講じています。
・用途に応じた切削油の使い分け
・定期的な切粉除去と装置の清掃
・切粉形状の分析と加工条件の最適化
これらの取り組みにより、連続加工や自動化ラインでも安定稼働が可能です。
4.当社の加工事例をご紹介
【産業用ピン】

こちらは、産業機械用のピン部品です。快削鋼を自動盤加工にて製作しています。端面の溝に導線が入る製品のため、溝径や幅が重要です。当社では、自動車業界をはじめとした大手企業との豊富な取引実績があり、その中で高度な加工技術・ノウハウを培っておりますので、本製品のような高精度な加工を実現しています。
5.「快削鋼」の旋盤・旋削加工も当社へお任せください!
旋盤加工コストダウンセンター.comを運営する矢田製作所では、旋盤加工機を100台以上保有しています。これらの旋盤加工機を用いて大規模な旋盤ラインを構成しているため、スピーディーかつ高精度に旋盤加工を行うことができます。この旋盤ラインでは、「快削鋼」をはじめとしたあらゆる素材の加工を行っており、最大20万個/月までの量産に対応しております。
さらに、旋盤加工設備に加えて、後加工等に対応できる豊富な設備群も保有しています。これらの豊富な設備群を活用することで、旋盤加工はもちろん、研削加工、高周波熱処理、測定等まで当社にて一貫対応することが可能です。
旋盤加工に関するご相談がございましたら、お気軽に当社にご相談下さい。
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