技術コラム
スピンドルの加工における重要なポイント
工作機械や精密機械の部品として使用されるスピンドルには、高い精度が求められます。記事では、高精度なスピンドルを製造するためのポイントを解説します。
スピンドルとは
スピンドルは、回転する主軸です。例えば紡績機械等で使用されるスピンドルは、ボビンを挿して、高速回転をさせるために用いられます。そのため、高速回転や高負荷の条件下でも安定した動作を保つ設計・加工が求められます。
スピンドルの加工工程
スピンドルは以下の工程で加工されます。
①旋盤加工(旋削)
旋盤加工で外形を円柱形状に削り出します。
②穴あけ加工/深穴加工
スピンドルに穴をあける場合は、5軸マシニングセンタなどを使用します。特に大径かつ長尺のスピンドルの場合、大径穴にはBTA加工、小径の穴にはガンドリル加工と、適切な工法を選択します。
③NCフライス加工
側面にキー溝などの特定の形状が必要な場合は、NCフライスで加工を行います。
④円筒研削
切削加工では出すことのできない、高い真円度・円筒度・表面粗さを実現するために、研削加工を行います。特に円筒研削は、スピンドルの外形を研削し、真円度を確保する重要な工程です。
スピンドルの加工における重要なポイント
スピンドル加工において、品質や精度を向上させるための重要なポイントは、芯ブレを防ぎ、真円度と円筒度を最大限に高めることです。そのためには、単に高性能な設備を持つだけでなく、環境や砥石の管理、加工方法の工夫が必要です。
1.芯ブレの防止と軸精度の維持
スピンドルの複合加工において、芯ブレを発生させないことは、最重要なポイントの1つです。芯ブレを防ぐためには、軸精度を公差内に収めることが大前提となります。
・芯出しの工夫:精密な芯出しに加え、専用治具の製作などチャック方法を工夫することで、加工中の芯ブレを防ぎ、精度が向上します。
・切削方法の選択:大径スピンドルの加工では、連続切削を選ぶことでビビリや振れ、たわみを抑えられます。
2.研削管理
真円度と円筒度は、主に円筒研磨機で確保します。この工程の精度には、徹底した砥石管理が求められます。砥石のツルーイングと、砥石の振れを厳密に管理することが、高精度加工につながります。
3.熱変形を抑える温度・環境管理
スピンドルを加工する際、高速回転による発熱で、構造部材が膨張することにより、軸方向や径方向に変位が生じます。特に高剛性が求められるスピンドルでは、熱変形が軸精度低下の要因になります。そのため、
・加工中の温度・環境の徹底管理
・加工液の温度の保持
といった管理が必要です。
これにより、軸受や構造部材の熱膨張による精度低下を防ぎ、安定した寸法精度を維持することができます。
4.高剛性材料へ対応した治具の活用
スピンドルには高い剛性が求められるため、素材にはSCM440などの高剛性な構造用合金鋼が多く選定されます。こうした特殊鋼の加工では、高い剛性をもつツールホルダの使用や、チャック方法の工夫、専用治具の製作が、高精度を実現するための重要なポイントとなります。
スピンドルの加工事例
事例①:紡績機械用ニードルスピンドル

こちらは、紡績機械用のニードルスピンドルです。材料を切断して、ガンドリル加工を行った後、旋盤・旋削加工・高周波焼き入れ・研磨加工・メッキ加工といった手順で製作しています。一部の寸法精度±0.005を求められていたため、旋盤加工後に研磨加工まで実施することで、対応しています。
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事例②:紡績機械用スピンドル

こちらは、材質S45Cのスピンドル部品です。テーパーや段差など加工が難しい部分もありましたが、精度±0.002を達成しています。また、加工後には、メッキ処理と焼き入れ処理を行っています。
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いかがでしたでしょうか。旋盤・旋削加工コストダウンセンター.comを運営する矢田製作所では、スピンドルの旋盤加工を非常に得意としています。さらに、今回ご紹介したポイントを押さえた旋盤加工を行うのみならず、加工図面に対するVA/VEコストダウン提案も可能であり、スピンドル量産のコストダウンを実現します。
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